近年、歯周病が「全身の健康」に影響を及ぼすことが明らかになって、一般にも広まってきました。脳から内臓、神経まで、まさに全身に病を引き起こす歯周病。歯周病が徐々に重症化して全身に広がる前に対策を講じておくことが重要です。
全身疾患との関係
歯周病菌を含む炎症性物質は、まず歯周ポケットから歯肉の中に入り込みます。そして、歯肉の毛細血管を経て、大きな血管へ血流とともに流れていき、最終的には心臓に到達。そこからさらに全身をめぐることになり、各臓器での疾患のリスクを引き起こします。
歯周病に起因する病気として、脳梗塞・心筋梗塞といった循環器系障害で3~4倍、早産(低体重児出産)で3~7倍の確率で、歯周病患者のリスクが高まることが報告されています。
そのほか、糖尿病・誤嚥性肺炎・消化器系疾患・認知症など、さまざまな疾患に関連があるとされています。誤嚥性肺炎の場合、口腔内の細菌が原因で起こるので、高齢者をはじめ、認知症や脳血管障害、手術後の患者のような飲食物の飲み込みが困難な人はとくに注意が必要です。